神様へのお供物

わたしの経験があなたにも当てはまるなら

少しずつ

少しずつ現れる

わたしがこうやって書いている言葉

塊になって現れることは少ない

先が見通せる経験は記憶にない

もう、何も出て来ないだろう

ほとんど、書いた

そう思っていても

現れる

少し現れる

キーワードや短いワンセンテンス

浮かんだものをメモする

メモすることで、一旦セーブさせる

すると次が現れる

また、メモをする

するとまた、次が現れて、紆余曲折あって

終わる

 

人生も同じように思う

八方塞がりでどうしようもない時

それでも、何か現れる

全く本題とは関係のない

取るに足りないこと

けれど、それはわたしの判断に過ぎない

とりあえず、それに取り組む

終わるとまた、何か現れる

これも取るに足りない

終わるとまた、現れる

わたしは全く手応えがない

どこかに向かっていることも知らない

相変わらずの心持ち

浮かない顔で何かを思案している

 

少しずつ現れる

俯瞰すると芋づる式だと気づく

わたしの意図を越えて

わたしは手繰り寄せる

振り返れば、わたしはずっとそうやって来た

 

少しずつ現れる

その現れるものをわたしは意図していない

現そうとしたものではない

わたしが手繰り寄せているのか

手繰り寄せられているのか

わたしは流れに乗せられている

経験から判断しても

その流れは委ねられるだけの実績と信頼がある

何はともあれ、脅威や危機のある中

わたしはこうしてここにいるのだから

しかも、進化して来ているのだから

 

それでも、わたしを邪魔するものがある

わたしの思案

リードした、コントロールしたい、というワタシ

少し現れても、それを相手にしない

わたしの怠惰

わたしの無知

わたしの無自覚

流れ者

わたしは旅人

生涯、旅をしている

毎日どころか、毎秒、初めての場所を訪れる

わたしに二度目はない

だから、わたしには家がない

帰る場所がない

戻ることを知らない

 

わたしは地球に乗って、銀河を旅している

馴染みの深い太陽や月、太陽系の星たちと一緒に

わたしが生きている間に、銀河系を一周することはできない

一周に二億二千万年以上もかかる、と言うのだから

銀河系自体も動いているなら

わたしは生まれてからずっと、宇宙を旅していることになる

漂流している、とも言える

 

太陽が東から昇って、西に沈む

一日が終わって

また、太陽が東から昇って、西に沈む

同じ場所に戻って来て、また一日が始まる

そういうことはできない

一年が過ぎて、同じ場所に戻って来て、また一年が始まる

そういうことは不可能

戻って来ることができない

一瞬、一瞬、初めての場所で

初めてを生きている

 

わたしには何年に何度の、ということができない

何年に一度の彗星が、とか

何年に一度の日食が、月食が、とか

ニュースにならない日も、瞬間も、それっきり

「それっきり」に不平等はない

 

わたしは流れている

後戻りの知らない流れ

もう一回を知らない流れ

停止を知らない変化

停止を知っているのは、わたしの頭だけ

 

屁理屈、常識なし

変わり者、捻くれ者

何と言われても構わない

わたしはもっと世界を感じたい

できるだけ事実に近い解釈で接したい

もっと、この世界を味わいたい

もっと、不思議を味わいたい

仮想世界

必要は発明の母

利便性、効率化を求めて、道具を生み出す

ルールもその一つ

 

何もないところにルールを置く

自分で作り出したルール

ルールに沿って動き始める

初めはルールに慣れるのも難しかっただろう

ルールの外側がリアルな世界で

ルールの内側が仮想世界だから

 

それでも、子どもがごっこ遊びを覚えるように

わたしにとって、それは容易いのだろうか

役を演じているうちに、役に入り込む

いつしか夢中になる

自作であることさえ忘れる

ひとまず、受け入れたことさえ忘れる

そして

何と、外側が消えた!

わたしが生きて来た、リアルな世界がなくなった

 

わたしは何と思い込みが強いのか

わたしの世界はひとつで、内側がすべてになってしまった

わたしは役そのものになってしまった

 

内側でわたしはさらに進化する

独自の進化

わたしはルールに使われる

自作のルールはわたしの主人になる

わたしは道具に使われるようになった

 

自然界から社会へ

わたしは時間に使われるようになった

お金に使われるようになった

べき、ねばならない

ルール、価値観、倫理観

誰かの理想像

社会が求める理想像

流動的な癖に固定化されたように見える

絶対化されたように見える

実態のない雰囲気

観念

実在できないもの

便利だったはずの道具

自作の道具がわたしの主人になった

わたしの心まで踏み込んだ

わたしは心まで許してしまった

わたしは力を失った

引きこもるようになった

べき、ねばならない

そこから外れたわたしは、自己否定するようになった

 

わたしは忘れてしまった

自作の道具だったことを忘れてしまった

外側の世界も忘れてしまった

役者だったことも忘れてしまった

 

腑に落ちる

わたしが変わり始めたきっかけ

それは自分の思い込みに気づいた時だった

 

わたしは所謂、ブラック業界にいる

業界に蔓延する暗さ

同業者の暗いエピソード

わたしも長く同じ状況にあった

わたしは当然、これからも暗い道を歩む

希望はないと思っていた

思い返せば、思い越えて、思い込んでいた

同業者の不遇はいい気がしない

状況が好転してくれればと思う

それはそれとして

ある時、わたしは気づいた

業界が暗い、同業者が不遇にある

そのことと、わたしと何の関係があるのか

業界は暗くても、不遇にある同業者は多くても

全員が不遇な訳ではない

根本的にわたしは彼らではない

わたしはわたしで、彼らは彼ら

何の変哲もない、ただの事実

それを知った時

まさに腑に落ちた

そこから、状況は好転し始めた

 

「人生は思い通り」と聞く

あれは言葉の綾だと思う

わたしは思いを越えた、思い込み

信じた通りだと思う

信じる中身は何でも構わない

わたしは信じた世界を生きている

だから、生きている世界が暗い時

自分がどんな思い込みを持っているか

何を信じているか

その盲点を知れば、変わるかもしれない

 

盲点が何の変哲もない、ただの事実に照らされた時

瞬間的な気づきがやって来る

瞬間的な閃き、納得、得心

腑に落ちる

これには特別な力を感じる

わたしの思い込みを瞬時に消してしまう

わたしの世界を瞬時に変えてしまう

スイッチのような力を感じる

もどかしい

この世界の仕組み

わたしの仕組み

幸せになるには

わたしが最も気になるトピック

驚くのはその攻略本、虎の巻

ガイドブックと呼べるものが、その辺にあるということ

書店に並んでいる

インターネット上にもある

こんな時代が来るとは思いもしなかった

この世界の攻略法など、現実に存在するとは

 

それでも手が届かない

わたしは常識を信じているから

わたしは受け取れない

それは常識を超えたところに並んでいるから

物理的には子どもでも手が届く

金銭的には少年でも手に入る

それでもわたしには手が届かない

それどころか、わたしは気づくこともできない

わたしは常識の内側にいるから

常識を信じているから

 

信じられるか、信じられないかが分かれ目

体験を通して知った時

わたしにはそれが、100%に近い信念に変わる

たとえそれが、非常識なものでも

非科学的なものでも

 

今の時代

同じ世界を生きているようで、世界は分かれている

物理的に同じ世界に身を置きながら

それぞれが信じた世界を生きている

焦り

人前に立たされた時

少し難しいことをする時

気持ちが逸る

脈が早くなる

手先がおぼつかない

深呼吸をする

一瞬の間を空ける

乱れた波が整って行く

しばらくすると、まずまずやれる

うまくやれている

焦りがことを難しくしていた

そのままでいればよかったのだ

 

思いがけないことが起こった時

ピンチが訪れた時

マズイ、と感じる

暗いものが、サァ―、と拡がる

そわそわする

「落ちつけ」

自分に言い聞かせる

やれることをやる

気づけば、静けさの中にいる

ことは過ぎている

焦りがことを難しくしていた

そのままでいればよかったのだ

 

遅刻しそうな時

締め切りに追われている時

イライラする

浮足立って来る

慌てふためく

周りが見えなくなる

やることなすこと、上手く行かない

焦りの中にいても、そうでなくても

全力の時は前進する

焦りの中にいても、そうでなくても

何とかなっている

わたしはいつも守られている

スタンダードが手に入らない

わたしが欲しいのはスタンダード

特別なものは要らない

スタンダードを手に入れるだけでいい

けれど、なかなか手に入らない

人によって言うこと、することが違う

微妙に違うこともあれば、全く違うこともある

一体どこへ行けば、見つかるのか

わたしはスタンダードだけで構わないのに

 

わたしは普通でいい

世間一般の、平均的なものが欲しい

みんなのような理想的な幸せのかたち

けれど、なかなか手に入らない

まだまだ、みんなには追いつけない

わたしだけが置いて行かれる

わたしは普通で構わないのに

 

スタンダード、普通、一般、平均

空気のように、水のようにありふれたものなのに

どうして手に入らないのだろう

掴めそうで掴めない

それはどこにあるのだろう

どうして、わたしはそれを追うのだろう

 

わたしの中にある何かが、わたしの眼を眩ませる

実在しないもの、言い換えれば、幻

幻を実在するものに見せる

 

スタンダード、普通、一般、平均

空気のように、水のようにありふれたものなのに

手に入らない

それは実在できないから

頭の中にしかない、観念だから

だから、見つからない、掴めない、手に入らない

追いかけた末に、わたしは疲弊してしまう

 

どうして、こんな事態になったのだろう

わたしの中にあるもの

わたしの基礎をなすもの

わたしにある、ワタシという自我

ワタシという自我の一側面、性質、傾向

それは実在するもの、事実に基づけない